あれはいつだったか
ずっと昔
きみと見上げた真冬の月は
白く青く澄んでいて
こわいくらいに美しかった
不足も余分もない完璧な満月
ぼくの満ち足りた気持ちはその月とリンクし
月よりも青白いきみの横顔に
ぼくは見とれていた
「でも三日月のほうが好き」
「どうして?」
「三日月のほうがエロチックだから」
へええ、とぼくはうなずきながら
きみの吐く毒にしびれ
白く青く妖しい三日月に嫉妬した
永遠の愛を信じていたあの頃と
そんなものはないのだと
知ってしまった現在(いま)
しかし月は昔と同じ場所にあり
白く青く冷たく
ぼくらの永遠をうつしている
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